大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24(れ)2505 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人日沖憲郎の上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。

第一点について。

物価統制令違反行為に対しては犯行後において所謂価格の統制が廃止された場合

でも行為時法によつて処断すべきものであることは当裁判所の判例とするところで

ある(昭和二三年(れ)第八〇〇号同二五年一〇月一一日大法廷判決参照)従つて

被告人の本件犯行後所論物価庁告示により生糸の価格統制が廃止されたとしても本

件犯行当時物価統制令違反行為として有罪であつた被告人の行為に対し行為時の同

令を適用して有罪を言渡した原判決は正当であつて所論の如き違法はない従つて論

旨は理由がない。

第二点について。

しかし、本件生糸が所論検査生糸であるとしてもA業会及びB統制株式会社以外

の者がA業会以外の者に生糸を販売する場合の価格は所論物価庁告示第七〇四号の

一一項に依るべきものであるから、原判決には所論の如き違法はなく、論旨は理由

がない。

第三点について。

犯罪の日時場所は犯罪の構成要件ではないから犯罪の日時場所に関して一々証拠

をあげて説明をしなければならないものではない。従つて所論売買契約成立の場所

をC旅館と認定した点について所論の如き瑕疵があつたとしても虚無の証拠によつ

て犯罪事実を認定したとはいえないし記録に徴するにC旅館で本件売買の内金を授

受したことは論旨でも説明している通りであるから本件売買成立の場所をC旅館と

認定できないものではない。従つて所論の如き違法はなく、論旨は理由がない。

- 1 -

よつて旧刑訴四四六条により主文の通り判決する。

以上は第一点に対する裁判官井上登の少数意見を除き裁判官全員一致の意見であ

る。

裁判官井上登の第一点に対する意見は昭和二三年(れ)第八〇〇号同二五年一〇

月一一日大法廷判決記載の通りである。

検察官 茂見義勝関与

昭和二五年一一月二八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!